進藤 万里子 ―不確定な銀粒子―

2009年4月30日~6月26日

進藤万里子の写真作品は無機的あり尚かつ有機的でもあります。その狭間に展開する作品群から今回は作品を絞ってその中の銀粒子に注視し新しい展開を試み、ここ瞑想空間でその宇宙観と対峙して頂きます。

写真を写真たらしめているのは光学的化学作用と人間の意思である。しかしながら不本意な事にどちらも曖昧な結果に陥る事になる。それでも確定的な事を言うのならば写真は写真を語らずしても良いはずだが、その曖昧さが第三の眼をもってして新しいものを生むとすればこれは何と素晴らしい事だろう。言い換えれば、写真と言うのは不確定な化学作用と人間の意思と第三の眼による調和なのかもしれないし、それは誰の物でもなく、偶発性を馴染ませた最も必然的な工芸でもあろう。彼女は何処で何を撮ったという記憶を覚えていないと言う。より思うに、不確定な銀粒子の総体をもって語る事、それは佛のみぞ知る処かもしれない。/空蓮房


進藤 万里子
1980年東京生まれ、横浜在住