小平 雅尋「顕れ」

Emergence
2019年11月6日〜12月6日

小平 雅尋「顕れ」

「Esの顕れは疎外を転倒させる」 ー小平雅尋ー


「見ることの作法」

善悪のような二元論的な見方をして何が決着すると言うのだろうか。無分別智の境地で物を見ることは、そうした判断ではなく自他を超えた発見につながる。それは、確定的な存在でもなくむしろ浮遊感に似た悦楽かもしれない。
釈迦は悟りを得た後、その悦をしばし楽しんでいたと言う。認識と存在の問いの向こうに悦があるのだ。自分は他者であり、他者は自分である現象に不確定な悦があると言うのだ。
作品と向き合う瞬間から問いと悦びが立ち現れることを願う祈りが見ることの作法であると思うのだ。
作品とは正に釈迦が弟子の前で手に持って見せた一蓮の花のようでもある。

空蓮房